安価で入手しやすく、日々あたりまえに使っている石膏ボード。
このまま使い続けてよいのか、
私たちは考え直さなくてはならない時期にきている。

石膏ボードを廃棄する場合、過去の硫化水素ガス発生による事故をふまえ、管理型最終処分場での処分が義務付けられています。現在、上昇し続ける排出量に対し、処分場の受け入れ能力が追いつかず、ひっ迫した状況が続いていますが、どんどん処分場をつくれば良いかというとそうもいきません。人里離れた山間に、木を伐り、山を切り崩して穴を掘り、寿命が50年と言われる遮水シートを広げたところに石膏ボードを投入し、未来永劫管理する。こんなことをこれから先ずっと続けていけるわけがないからです。

この問題を解決するため、産官学をあげて石膏ボード廃棄物のリサイクルが推進されています。しかし、仮にリサイクル率が100%になったとして、私たちのすまいはこれからも、捨てるに捨てられない石膏ボードを抱え続けていくのでしょうか。
一方、電力業(火力発電)や精錬業など、おもに化石燃料を燃焼させる施設では、大気汚染防止のため、排ガス中の硫黄分を石灰に吸収させる排煙脱硫(はいえんだつりゅう)と呼ばれる処理を行っています。その過程で必然的に排煙脱硫石膏が副産物(廃棄物)として生まれ、石膏ボードやセメントの原料として用いられています。石膏ボードの原料として供給されている排煙脱硫石膏は年間約170万トンにのぼり、原料となる石膏全体の約38%を占めています。さらに、肥料工場等からの副産石膏約20%を含めると原料の約6割が他産業から排出された副産物(廃棄物)であることがわかります。(平成29年原料統計・一般社団法人 石膏ボード工業会)

かつて、いまほど石膏ボードが使われていなかった1970年代、大気汚染防止を目的とした排ガス規制の強化にともない、排煙脱硫を始めた工場内には排煙脱硫石膏が山と積まれることになったといいます。石膏ボードの生産量が増えるにつれ、その山が消えていくのを見て工場の人たちが安堵したことは容易に想像できます。また、電力業界の報告書からは、石膏ボードのリサイクルが進むと、電力事業で排出される排煙脱硫石膏が供給過剰となり、その処分先が無くなることへの懸念が表明されています。(「電力中央研究所報告」平成17年6月・財団法人 電力中央研究所)つまり、私たちが石膏ボードを必要としているかどうかにかかわらず、石膏ボードを使ってくれないと困る人たちがいるということです。でも、自分たちのゴミを他人に負担してもらうためになんとかしようなんて、そもそもがおかしな話のはずです。

石膏ボード・コネクションとでも呼びたくなるような巨大な共同体は、それ自体が不気味な生き物のようにふくれあがり、自分では身動きが取れなくなっているかのようです。しかし、石膏ボードを使うかどうかは私たちめいめいが考えて選択する問題です。

これからのすまいは、石膏ボードを使わずにつくりたい。私はそう考えています。

<トピックス>にもどる☞