「居心地の佳いすまい」を設計し、

持続可能な家づくりを考え、実践する。

 古来、日本には、「木を生きているものとしてあつかう」文化があります。木だけではありません。優れた職人たちは土、紙、石などの材料を、手で感じ、癖を読み、それらが呼吸しやすいようにあつかい、建築物をつくってきました。このようにして建てられた家が、材料を寄せ集めただけの単なる器であるはずもありません。人々は生きものの息吹きに包まれたくらしを「居心地の佳いもの」として大切にし、「すまい」の拠りどころとしてきたのです。私の設計はこのような文化への共感を基礎としています。

「居心地の佳いすまい」

 居心地とは、ある場所に居るときの身体の感じをあらわす言葉です。それは、場に感応する身体を内観することを通して、場を捉えかえすことに他なりません。私は建築物のみならず、建築技術や構法をもその視点から捉えています。「すまい」を設計するとき、天然乾燥材をつかって木の特性に従う構法(渡り腮構法)を選択したり、あるいは、防露用のシートをつかわずに壁の調湿性能を活かす構法を選択したりするのは、それらが「居心地の佳さ」を具体化するためのひとつの方法と考えているからです。

 何かを建設しようとすると、ごく身の周りのことから地球規模の環境危機に至るまで、実に様々なことが関わっていることに気づきます。「居心地の佳いすまい」を世代を超えてつくり続け、住み続けるためには、広い視野にたち、私たちの生活全般を見直す必要があります。

「持続可能な家づくり」

 私にとってそれは、たとえば、樹齢60年の木をつかって建てる家は60年以上住むことのできるつくり方で建てる、住まい手は家を適正に維持管理する、建て主は職人が生き続けることのできる労働条件を確保する、ゴミ問題が先送りになっている石膏ボードの使用を見直す、土に還すことのできる土壁をつかう、コンクリートを密実に打ち丈夫に長持ちさせる、・・・といったこと一つ一つを意味しています。

 私は、設計者の立場からこの課題を考え、実践することを通して、これからの家づくりをどのように進めていったら良いか答えてみたいと思っています。その成果が皆さんの生活の役に立ち、「居心地の佳い」くらしに貢献できたらと願ってやみません。

菅家太建築設計事務所

2017年9月1日